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−公衆トイレ前−
麻原彰光が周囲を警戒しながら公衆トイレに入るのを確認すると、茂みから隠れて見ていた上祐史浩は笑いを堪えるのに必死になった。 「くっくくくっ!くふふふふ!(激藁
尊師!アナタってやっぱりキング(王)ね。長〜い間ずっとずっと、サティアンで王様暮らししてたから、トイレなんて茂みの中で済ませちゃえばいいものを・・・ぷぷぷっ(藁 上祐が指揮したものの失敗に終った『炭疽菌』散布事件に対する再捜査が始まり、彼は再び捕われの身となった。 上祐の頭では、既に優勝までの筋書きは完成していた。 「とにかく尊師には頑張ってもらわないと!尊師が次々に殺しまくって最後にわたしと2人きりになったら、わたしが背後から尊師を撃っちゃうの! このゲームには尊師以外にも曲者(酒鬼薔薇とか新宿ボンバーとか林真須美とか)がたくさん参加してるから、最後の2人になるまで尊師もどこかで手負いになるに違いない。そうしたら無傷のわたしと勝負したってわたしが絶対有利よ。このまま尊師を後をつけて行けば、わたしの優勝は間違いナシね。くくく(藁」 上祐は自身に支給された『デリンジャー』と呼ばれる小型拳銃を握りしめた。 思考がさらに頭をめぐる。
「この展開って、まるで、わたしの人生そのものじゃない。皆が崇拝する尊師に従って、オウム真理教は発展した。でも、尊師の命令による一連の事件で、ほとんどの最高幹部が逮捕され、尊師まで逮捕されて邪魔者はいなくなった。オウム・・・いやいや、現アレフはわたしが牛耳ってるじゃない。ぷぷぷ(藁
「わたしが何故、ゲーム開始前に小泉に何も言わなかったかって? ・・・上祐さん。"麻原"なんて呼び捨てはいけませんよ。ちゃんと"尊師"と呼ばないと・・・ 「でもね、高橋君。そんな甘いこと言っているから最後には尊師に裏切られるのよ。法廷で事件は弟子が独断でやったこと∞全ては弟子が悪い≠ネんて言ってる教祖を心から信頼出来ると思ったの?」 それにしても麻原は遅い。あと数分でここも禁止エリアになってしまう。上祐は時計を見た。「尊師!どうしたの?トイレなんてさっさと済ませて、早く仕事してちょうだい!」 麻原はいっこうに出てこない。まさか祈りを捧げるにも夢中でいるとか?そう、このゲームでの麻原の異常な強さは祈りによるお陰なのだ(それは"麻原の野望・オウムの系譜"というゲームで実証された) 「いや、尊師がそんな間抜けなわけないわね!!地図の見間違いかしら?」 いや、地図は確実に正しい。上祐は耐えきれずにトイレを覗いた。 それは・・・水ボトルが吊り下げられて揺れ、水がぽたぽた落ちていた。 「そんな・・・・」 上祐は恐慌状態になった。トイレとは全く違う方角から、麻原の声が聞こえた。「美しく散った。マイトレーヤ正大師におおいなる拍手を」 「えっ・・・・」
上祐の首輪が爆発した。
―死ぬ間際― 上祐は東京拘置所に収監されていた麻原に面会した時のことを思い出した。麻原にオウム所有の土地を売却する相談に訪れたのだ。 「上祐!3億で買った物を何で1億で売らなきゃならないんだ!この馬鹿野郎!」 麻原は怒鳴った。どうせ怒鳴っても尊師は2度と娑婆には戻って来れないというのに・・・教団が所有する物件のことでムキになっても仕方がないだろうに・・・とその時は思った。しかし、今になって、あの時、尊師が怒鳴った意味が分かった。
「尊師・・・あなたは犯罪者バトル・ロワイアルが行われることを知っていたんですね。 麻原は冷酷な目でそれを見届けると、その場から立ち去った。 |
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