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麻原のモーターボートはまるで本人の意思が乗り移ったかのように、すっと横へ動いて銃弾をかわし、3人を乗せたボートの右側へ、後ろから回り込む。ネオ麦茶が半身を乗り出している窓とは反対側だ。 ネオ麦茶は慌てて反対側の窓へ移り、シートに膝を立ててウージーを構えようとしたが、麻原の動きが一瞬早かった。 ぱららららららららららー!!!! ネオ麦茶は床に伏せる。麻原のボートは右横にまで来ており、3人を乗せたボートと岸に挟まれる形になっていた。銃弾で窓ガラスが割られ、船体に弾痕の列が鮮やかに描かれる。粉々になったガラスの破片が頭に降りかかってきた。ネオ麦茶が必死に愛の上に覆い被さる。愛の顔に傷付けでもしたら、絶対に許さない!酒鬼薔薇は身を低くして、麻原の動きに注意しながら、かすかに笑みを見せた。「この位置で勝負するってのは甘いよ!尊師、命取りだぜ!」 途端、酒鬼薔薇がぐっと舵を切った。3人を乗せたボートの船体が、麻原のボートと接触する。一旦離れて、また接触させた。もう一度離れて、また接触。酒鬼薔薇はわずかに船首を右へ傾ける。麻原のボートがスピードを速めて、自分達と岸との間をすり抜けないようにするためだ。そのまま押され続けると麻原のボートは岸辺の岩に激突するだろう。素早く状況を察知した麻原がボートのスピードを緩めることで、挟まれている状態から脱した。今度は沖合いから攻めようと、3人を乗せたボートの左側へ、後ろから回り込む。 ぱららららららー!! 反対側の船体に銃弾が当たり、窓ガラスが割られていく―。船体が被弾し、ガラスの破片が降りかかる中、ネオ麦茶は窓際まで床を這う。ウージーの銃口だけを窓から出し、引き金を引いた!狙いを定めている余裕はない!とにかく撃たなくては―!!
島のカーブに差しかかった時、酒鬼薔薇が思い切り舵を切った。船尾を麻原のボートに接触させて、勢いよく沖合いに弾き飛ばした。麻原を乗せたボートは半回転して方向を見失う。 呟きながら動きの止まったネオ麦茶を酒鬼薔薇が喝を入れて呼び覚ます。 「撃て!ネオ麦、気を抜くな!!麻原を倒すことに集中しろ!!!」ネオ麦茶が、はっと我に返り、慌ててウージーを構え直す。 麻原が猛スピードで追って来るのが分った。 ヤツも俺達を倒すことに全神経を集中させている! 〜プログラム本部(刑務所)〜 小泉純一郎が4人の戦いに熱狂していた。参加者の首輪に仕掛けられた盗聴器から聞えてくる中継≠ノ耳を傾け、参加者の位置を表示するモニター画面に見入る。 「いやー!熱くなったよー!!上半身裸になって応援したい気分だね!!!」小泉は背広の上着を脱ぎ、ネクタイを外す。その後ろでは田中真紀子の後任としてプログラム副担当官に任命された官房長官・福田が電話で話している。 「・・・分った。すぐ総理に申し伝えよう」電話を切ると「総理!」と、小泉に声をかけた。ワイシャツのボタンを外し、上半身裸になろうとしていた小泉の手が止まる。 「一大事です!」福田が一呼吸置いて話し出した。 「海上保安庁から入った連絡によりますと、昨夜より日本国本土の沿岸で不審な動きをしていた船舶を立ち入り調査しようとしたところ、巡視船の停船命令を無視して逃走しました。たった今、プログラムが開催されている・・・この島の付近まで逃げ込んできたとのことです!!海上保安庁が追跡しておりますが、おそらく不審船は北朝鮮のものと思われます!」小泉が驚いて椅子から立ち上がった。 「北朝鮮の不審船!?勘弁してほしいよね、こんな時に!」福田副担当官が続ける。 「総理!すぐに海上警備行動の発令を!」 |
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