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●建築は詩!?
大学を終えてからすぐに勤めたのが、建築家・吉村順三さん
の愛弟子、鈴木彰さんの事務所です。毎日が「修行」でした。
吉村順三さんの「建築は詩である」という言葉に惹かれます。
易しい言葉を適切に使うだけで詩の心は通じます。
難解な言葉や気取った言い回しは不要です。
設計する際は、人間のスケールを大事にシンプルで使い易い
プランを心がけています。「これでもか」とばかりに、プランや
外観をいじくり、奇をてらうようなことはしません。それは結局
ゴテゴテと醜悪な建築になるからです。建築には節度と品格
が欲しいもの。そして詩心(エッセンス)が必要です。
詩を詠むように思索し構成し表現する、その難しさを痛感して
います。肩の力を抜いて淡々と、しかし熱をもって設計の仕事
に臨みたいと考えています。
●仕事は楽しい!?
仕事は、好きなことが一番です。設計が終盤にさしかかる頃、
図面の中を歩き回ります。そこに降り注ぐ光や、吹き抜ける風
を感じ、家族の団らんを想像します。謙虚な気持ちで慎重に
細部を吟味し確認します。
辛い仕事もありましたが、楽しいと思うことのほうが多かったか
も知れません。幸い一度も設計の仕事を辞めようとは思いませ
んでした。今の事務所が四つ目の職場です。職場にはそれぞ
れの特徴があり、私には良い経験だったと思います。
設計や現場監理で辛い時、思い浮かべるのは建物が竣工した
時のこと。「依頼者の喜ぶ顔が見たい。精一杯努力して達成感
を味わいたい」「絶対に後悔したくない」と。「仕事が楽しい」
なんて甘っちょろいと思われるかもしれませんが、この仕事を
選んだ幸せを感じます。
●CADはツール!?
建築の世界にCADが普及してから長い時間が経過しました。
最近、実務に携わる人達から、PCを「扱う」能力より建築を
「思考」する能力を求める声を聞きます。
図面=CADの時代に、私はまだホルダーを手放していません。
むしろ、drawing(手描き)の重要性を見直しています。
私の中でのCADは「線を引くためのツール」です。
もちろんCADでもスケッチは出来ますが、建築を思考するには
手書きのスケッチが欠かせません。
思い浮かべたイメージを形にとどめる時、手近な紙にホルダー
を走らせ線を重ねます。drawingによる思考の積み重ねは
設計行為に不可欠な作業です。CADの持つ利便性は圧倒的
ですし、利用しない手はありません。ただ、CADが万能と考え
るのは早計です。drawingは未だに、建築者の意図を産み出す
唯一の手段なのです。
●意思と意図!?
建築はそれだけでは成立しません。その存在は社会的な
「結実」として様々な影響力を持っています。建築が社会的
な存在である以上、社会や人との関わりは無視できません。
限られた時間とボリウムのなかで、それらとどのように関わっ
ていくかが建築者の姿勢であり、意図なのです。設計には依
頼者の確固たる意思(夢)と、建築者の意図(コンセプト)が
必要です。
いろいろな出逢いがあり、いろいろな経験をしました。
依頼者の意思を十分に理解し、出来上がった建築で感謝され
るのが建築に関わる者として一番の幸せです。「人への優しさ
と細やかな思いやり」を指針に、「正直で美しく合理的な建築」
を実現するのが私の願いです。 |
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