建築は詩!?

大学を終えてからすぐに勤めたのが、建築家・吉村順三さん
の愛弟子
鈴木彰さんの事務所です。毎日が「修行」でした。
吉村順三
さんの「建築は詩である」という言葉に惹かれます

易しい言葉を適切に使うだけで詩の心は通じます。
難解な言葉や気取った言い回しは不要です。

設計する際は、人間のスケールを大事にシンプルで使い易い
プランを心がけています。「これでもか」とばかりに、プランや
外観をいじくり、奇をてらうようなことはしません。それは結局
ゴテゴテと醜悪な建築になるからです。建築には節度と品格
が欲しいもの。そして詩心(エッセンス)が必要です。

詩を詠むように思索し構成し表現する、その難しさを痛感して
います。肩の力を抜いて淡々と、しかし熱をもって設計の仕事
に臨みたいと考えています。


仕事は楽しい!?

仕事は、好きなことが一番です。設計が終盤にさしかかる頃、
図面の中を歩き回ります。そこに降り注ぐ光や、吹き抜ける風
を感じ、家族の団らんを想像します。謙虚な気持ちで慎重に
細部を吟味し確認します。

辛い仕事もありましたが、楽しいと思うことのほうが多かったか
も知れません。幸い一度も設計の仕事を辞めようとは思いませ
んでした。今の事務所が四つ目の職場です。職場にはそれぞ
れの特徴があり、私には良い経験だったと思います。

設計や現場監理で辛い時、思い浮かべるのは建物が竣工した
時のこと。「依頼者の喜ぶ顔が見たい。精一杯努力して達成感
を味わいたい」「絶対に後悔したくない」と。「仕事が楽しい」
なんて甘っちょろいと思われるかもしれませんが、この仕事を
選んだ幸せを感じます。

CADはツール!?

建築の世界にCADが普及してから長い時間が経過しました。
最近、実務に携わる人達から、PCを「扱う」能力より建築を
「思考」
する能力を求める声を聞きます。

図面=CADの時代に、私はまだホルダーを手放していません。
むしろ、drawing(手描き)の重要性を見直しています。
私の中のCADは「線を引くためのツール」です。
もちろんCADでもスケッチは出来ますが、建築を思考するには
手書きのスケッチが欠かせません。

思い浮かべたイメージを形にとどめる時、手近な紙にホルダー
を走らせ線を重ねます。drawingによる思考の積み重ねは
為に不可欠な作業です。CADの持つ利便性は圧倒的
ですし、利用しない手はありません。ただ、CADが万能と考え
るのは早です。drawingは未だに、建築者の意図を産み出す
唯一の手段なのです。

意思と意図!?

建築はそれだけでは成立しません。その存在は社会的な
「結実」として様々な影響力を持っています。建築が社会的
存在である以上、社会や人との関わりは無視できません。
限られた時間とボリウムのなかで、それらとどの
ように関わっ
ていくかが建築者の姿勢であり、意図なのです。
設計には依
頼者の確固たる意思(夢)と、建築者の意図(コン
セプト)が
必要です


いろいろな出逢いがあり、いろいろな経験をしました。
依頼者の
意思を十分に理解し、出来上がった建築で感謝され
るのが
建築に関わる者として一番の幸せです。「人への優しさ
と細やかな思いやり」を指針に、「正直で美しく
合理的な建築」
を実現するのが私の願いです。