京都 大徳寺の塔頭のひとつで孤蓬庵にある忘筌茶室のシミュレート。この茶室は小堀遠州作とされ書院の茶の最高峰で、国宝に指定されている。柱は4寸面取り長押が廻っており茶室ながら書院建築の様式をもっている。侘び茶の数寄屋とは異なった趣を持っている。西に開口をもつ茶室で西日の制御と茶庭をその奥に広がる庭園から切り取り露地の風情を演出するため上部に障子を設けた舟入となっている。
茶会は、茶事七式といわれ七種類があり時刻にあわせて趣向が異なる。朝会(あさかい)、正午会(しょうごのかい)、不時会(ふじのかい)、夜咄会(よばなしのかい)、跡見会(あとみのかい)、飯後会(はんごのかい)、暁会(あかつきのかい)の七つである。
茶室奥、床の間の脇に明り障子がある。茶室の入り口から奥を見て正面 点前座にある明かり障子の効果を確かめる。
明り障子は東側奥の庭に面しているが、午前中も深い庇にさえぎられ直接光は当たらない。しかし午前の光の量は多く色も白い。
遠州は、茶室を西向きに拵え、東に明り障子を設けることで、茶会それぞれで趣の異なる光の演出を試みたのではないだろうか?
暁会では、蝋燭の光から夜が開けるに従い、この明り障子からの光が強まり光と影がはっきりしてくるだろう。
また最も一般的な正午の会は昼12時に始まり2時間から4時間行われる。また、飯後会は午後である。午後になると明かり障子からの光の量は減り天空光の青い光しかはいってこなくなる。しかも、西の舟入からの光が強いため、明かり障子がそんなに目立たなくなってくる。遠州はこの明かり障子で闇を演出したかったのではないだろうか?
夏の夕方をシミュレートすると西に向いている障子には直射日光があたり明るく輝いて見える。
もう少し太陽が沈むと、この障子に庭木の影が映る。太陽高度が高いと木の影が延びてこないため白く均一に輝く障子に、奥の庭園の木のシルエットが浮かび上がる。夕方、外部と室内の明度差が少なくなることで木の影が映り込みが現れる。飯後会の趣である。
木の大きさや距離が不正確なので実際こうなるか不明だが障子が単なる日よけ以外に影を受け止めるスクリーンの役割があり、茶室の景色の演出として利用している。